日本一小さな村の富山県舟橋村における5歳児健診の取り組み
富山県舟橋村
金城大学 看護学部 准教授
子吉 知恵美
富山県舟橋村は、子育て共助のまちづくりを目指して」と掲げ、富山平野の中央部に位置し、面積3.47km²、人口約3,300人の日本一小さな自治体です。富山市のベッドタウンとして発展し、働き世代や子育て世代が多く、15歳未満の人口割合が高い活気ある村です。役場、学校、駅などの主要施設がコンパクトにまとまっており、公共交通や車での利便性も高い立地環境にあります 。
開始のきっかけ
2009(平成21)年、当時の村長の発案により、富山県内で先駆けて5歳児健診が開始されました。当初は現場の保育士から抵抗感もありましたが、3歳児健診まででは確認しづらい「集団での適応」を確認する必要性を共有し、定着に至りました。無医村である舟橋村ですが、富山県リハビリテーション病院(県リハ)の小児科医が診察を担当しています。健診で指摘があった場合は県リハへ、さらに療育が必要な場合は児童発達支援施設へと、医療と療育がセットでフォローされる強固な体制が構築されています。
実施の特徴
実施の特徴として、参加率は90~100%です。健診では集団遊びの様子を観察し、その場で保護者に結果を伝達します。健診中の中間カンファレンスに加え、終了後には村内の保育施設の園長も交えた最終カンファレンスを行い、健診後の園でのフォロー体制を整えています。参加した保護者からは、集団遊びの子どもの様子をみて、「集団での遊びの様子を見る機会がないからよかった」「初めての場所でも子どもは意外とできているんだと思った」などと新たな気づきを親も得られる機会となっています。就学前に集団行動面での課題を把握できるため、健診で指摘を受けた家庭は、就学後に不適応が起きた際も早期に学校に相談するなどスムーズに対応できる傾向があります。また、小学校の特別支援コーディネーターにスタッフとして参加してもらうことで、保護者が就学後を見据えた相談をしやすくしています。
現在の課題と今後の展望
現在の課題と今後の展望は、健診時間の短縮とツールの活用です。丁寧な健診を行う反面、終了時間が遅くなる(17~18時)ことがスタッフの負担となっており、身体計測を事前に園で行うなどの工夫で時間短縮を図っています。また、令和7年度より導入したSDQ(強さと困難さアンケート)については、園と保護者の認識のずれなどの課題があり、効果的な活用法を模索中です。また、県リハの医師は、療育につなぐお子さんの受診者数が多いことから、業務過多であり、健診での診察を担っていただくことが難しい状況が考えられます。今後は、小児科医以外の医師が健診を担う体制づくりを検討しています。
取材後記
これから開始する自治体に対し、専門職間で支援の方向性を共有することの重要性が語られました。15年以上経て、現状に満足せず、SDQの導入や健診後の支援拡大のために、県リハの医師には受診者の診察を優先していただけるよう、健診医は開業予定の内科医へと、診察医の確保において、今後5歳児健診全国拡大に向けたモデルとなる内容をお聞きしました。